徒然グチ

病診連携と診診連携

「先生、ここはまるで病院の診察場みたいやね。レントゲン科に行ったら、待たんで写真撮ってくれましたわ」。先日 那賀病院で胸部CTを撮影してきた患者さんにこう言われたとき、「そうやで。那賀病院のレントゲン室は、するたクリニックのCT室やで。」と冗談交じりに返事をしました。
一般的には風邪などの軽い病気や高血圧・糖尿病などの慢性疾患の方は診療所(開業医)で診察を受けられていると思いますが、開業医が特別な検査等が必要だと判断したときには先進医療機器を備えている病院に紹介されます。CTやMRIなどの機器は高価なものです。そして医療機器は値段に比例してその性能が決まります。ところが高価なCTと廉価なCTで行った検査費用(患者さまが支払う医療費)は同じです。対費用を考えると私たち開業医ではこのような先進医療機器を備えることを控えてしまいます(設置してもできるだけリーズナブルな機種にしようとする)。また、那賀病院でCTやMRIを撮影した場合、専門の放射線科の先生が画像を読影してその先生なりの診断を下してくれます。当然開業医も読影するわけですから二重チェックとなるわけです。前述した画像と複数の医師による読影とで診断の信頼性が高くなります。
当院では那賀病院の地域医療室を通じFaxで検査予約を取り、予約患者さんはほとんど待ち時間がなく病院でCTやMRIの検査が受けられます。
「診診連携」という言葉も耳にすることがあるかと思います。医師夫々は自分の得意な分野(私の場合は循環器病)があります。現在のように医療が多様化・専門化してしまいますと自分の得意分野以外のケースに戸惑いを感じることも多々あります。そんな時 開業医同士が連携を取り合うのが診診連携です。私の場合は消化器疾患や脳神経疾患などでその分野の専門の先生にお世話になることが多いのです。紹介をさせてもらったりするわけですが、ある日患者さんに「先生、ライバルの診療所に紹介して患者をとられたらどうすんの?」と忠告されました。このときもこう答えて2人で笑いました。「○○クリニックは競合クリニックでなく、うちの内視鏡室やで。」と。
今後も病診連携や診診連携をうまく利用しながら、患者さまに合った医療を提供させていただきたいと考えています。

院長 駿田 英俊